フライヤーが告げる 三拍子の電子音 僕のハートは リズムとひどくずれていた安っぽい匂い 週に一度のサンクチュアリ トレイを握る手は 情けないほど湿っていたカウンターの奥で 白がほのかに発光して 冷たい肌と きつく束ねた黒髪が揺れる丁寧な声が 近くで柔く響く 僕は曖昧に 愛想笑いで逃げた休日の通り 偶然というギミック 見慣れない私服 ロングヘアが踊っていた隣を歩く 背の高い誰かの影 君は無防備に 瞳をそらして笑った僕の入れる隙間なんて 一ミリもないと知らされた勝ち目はないけど これが僕のラストオーダー 優しい嘘も 未来もいらない傷つく権利を 僕にくれてもいいだろう そのマニュアルの笑顔を 今ここで壊したいガラス窓を叩く 雨粒が激しくて 店内のポップスを ゆっくり消していく濡れたスニーカーが 床を鳴らしていた その響きだけが 逃げ道を塞いでいく座ったシートには 凍えそうな冷気 心の中まで 薄く湿りが落ちる膝の上でそっと 震えた掌が 君の言葉を 探しているようだった視線を落として メニューを見つめていた どれを選んでも 正解なんてないのに丁寧な声が 近くで柔く響く 僕がここにいる理由は 食事なんかじゃないから心の隙間を埋めるように 君がまた声を寄せた勝ち目はないけど これが僕のラストオーダー 優しい嘘も 未来もいらない傷つく権利を 僕にくれてもいいだろう そのマニュアルの笑顔を 今ここで壊したい深く息を吸って ゆっくり顔を上げた 君は困ったように 少し首を傾げたもう逃げない もう嘘はつけない オーダーの代わりに 僕は言葉を切り出した勝ち目はないけど これが僕のラストオーダー 優しい嘘も 未来もいらない傷つく権利を 僕にくれてもいいだろう 困らせてもいい 君の記憶に残りたい雨音は遠のき 静けさだけが残る中 ただまっすぐに 君を見つめた……好きです